アントレプレナーシップ・エデュケーター道場

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2010/02/04

経済発展段階の違いからくる格差(ギャップ)を活かす視点

先週末(1月29日)から今週初め(2月2日)にかけ、大韓民国釜山にある東亜大学の鄭教授と深く話す機会を得た。また、第7回キャンパスベンチャーグランプリ中部のニュービジネス大賞を受賞した「ケニアだからできるe-commerce」の着想と概要を聞き(2月2日)、鄭教授が意図することを再確認した。
鄭先生は、私に「『経済発展段階の違いからくる格差(ギャップ)を活かす視点』を大切にしてください」と示唆されたと思っている。日本では、使い古されたり、もう当然となってしまった資源(知恵、技能、ノウハウ、技術等)は、日本と異なる文脈(コンテクスト)に持っていけば、新しい価値として地域に受け入れられる。
当然といえば当然の視点を、追いつき追い越せの考えで先進国ばかり見すぎているがゆえに、基本的なことを忘れてしまっている。東アジア、東南アジアという枠組みで物事を捉えれば、新たな日本の役割と価値づくりの筋道が、ハッキリと見えてくる。
私のゼミにもミャンマー、中国、台湾等からの留学生がいる。留学生30万人計画に向けて動きが本格化すれば、今まで以上に留学生との接触、そして彼らの生きてきた文脈(コンテクスト)で物事を判断しなければならなくなる。新規事業の考え方の範囲を広げる必要性を思い知った。
もちろん、課題も忘れてはいけない。私は、かつての仕事で東アジア、東南アジアの日系企業を多く訪問したことがある。もう15年も前になるが、いまだにある現地法人の社長がおっしゃった言葉を忘れないでいる。「日本の目線で現地の市場を見てはだめだ。日本人に分からないこと、できないことがあることを知る必要がある。協力し任せる仕事もある。」一字一句同じではないが、このような趣旨のことであった。
「ローカライゼーション」当時は、日本企業が業績を伸ばすための目線でローカライゼーションを考えていた。今回、鄭教授と話し、その地元を豊かにするローカライゼーションは、地元の人と信頼関係を築き、その中からお互いに必要性を確認できるものを、地元目線で、地元流のアレンジで導入する必要がある。しかも、現地の言葉で。英語でも日本語でもない。
成さねばならぬことは、本当に多様で、多い。私自身の未熟さに気づかせていただいた鄭先生に感謝。

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