アントレプレナーシップ・エデュケーター道場

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2013/09/16

トータルゲーム(TG-E)であらたな局面を体験し、社会現象を理解!

Img2013091300198_22013年9月12、13日の2日間、山梨県北杜市のホテルで法政大学経営学部・茨城キリスト大学合同の柳沼寿ゼミ合宿に招待され、トータルゲームを行ってきました。今年で10年10回目で、製造業版(TG-E)の年でした(原則、製造業版と情報サービス業版を隔年で実施してきました)。
柳沼寿先生は、来年古希とはいえ教育と研究欲旺盛な先生で、私の大学院生時代の恩師の一人。柳沼先生からは、Market for Lemon、Market Micro-Structure等の研究論文を一緒に読み込む機会をいただき、その時の学びは、市場メカニズムや企業の存在意義を理解する中核となる知識の一つとして今に繋がっている。私もゼミ生の一人ともいえる。だからだろう、私に指導者とい意識は一切なく、いつも挑戦でき、若者と一緒に試行錯誤できる機会となっている。
今回、2つの実践方法を採用した。
(1)4人で1つのボードを囲み、それぞれが製造販売会社を経営する企業家とし参加し、個々に自己資本を増加させることを目指す(12日に7期実施)。
(2)2人で1つのボードを囲み、グループ会社として2人がそれぞれ製造販売会社を経営し、グループ平均の自己資本を増加させることを目指す(13日に7期実施)。
以下は、今回の経験の紹介と簡単な振り返りです。
(1)の実践方法・・・
●4人の会社の取扱量が少ない時には、マーケットに余裕があり全員がウィン・ウィンで、暗黙の相互依存関係が生まれていた。皆、安心して経営に取り組んでいた。→皆が中小規模の経営で、周りを活かしながら自分も活かされている経営は、費用対効果も良い。これが信頼できるマーケットと実感。
●4人の会社それぞれの取扱量が増え、1社毎の動かす量が大きくなると、マーケットが小さくなりゼロ・サムに。パイの奪い合いになり、買占めも起こり、ギスギスしたマーケットになった。→疑心暗鬼。それを打破するためにパイの大きなマーケットを狙う。これが海外進出か!自動車産業に例えるとよくわかった。
(2)の実践方法・・・
●4つのグループ会社ができ、平均自己資本の推移をみると2つの結果に分かれた(写真)。一方は順調に平均自己資本を伸ばし、他方は途中までは同じような軌跡であったのが突如として平均自己資本を減らし、その中には倒産したグループ会社も出た。
●順調に平均自己資本を伸ばしたグループ会社は、マーケットと各社の仕入れ・製造・販売の循環が途切れないように余裕を持った準備を怠らず、愚直にその方針を守った。この循環が途切れる恐れがあるときには、資金の提供も先行して行っていた。付加価値を高める研究(販売単価を高める効果あり)に時間を割くことをしない方針を最初に掲げていたことも特徴だ。
●突如として平均自己資本を減らしたグループ会社は、研究開発による付加価値型経営に取り組んでいた。この場合、研究開発への挑戦期間が長く、マーケットと会社の循環への意識は後退しがちである。運よく、研究開発が上手くいっている間は表面化しないが、最後でつじつまを合わせようとする研究開発投資が行き過ぎると研究開発投資が上手くいかなかった場合、直ぐに資金ショートとなる。そこで、借り入れをし循環型経営に舵を切ろうとしても、借り入れは設備費に充てることで手一杯となり、設備だけ余裕があってもその他の材料や販売能力、さらにはマーケットの需要が小さければ、粗利の小さな取引が結局続き、当期の人件費と次期首処理の金利負担が大きくなり、キャッシュが不足し、悪循環となる。→付加価値型経営を継続し、今期はマイナスでも時期にプラスに転じることを狙ったら、果たして自己資本の大幅減はなかっただろうか?なかったと思っている。
トータルゲームの優れている点は、ウィン・ウィンもその逆も経験できる仕組みとなっている点だ。また、方法だけでなく、同じマーケットに向き合う相手(時には競争相手、時には敵、時にはパートナー)との考え方の違いを意識できることだ。加えて、今回改めて強く思ったのは「トータルゲームは『有効需要』の大切さ」を体験的に学べることだ。
一緒に新たな発見をしてみませんか?

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