アントレプレナーシップ・エデュケーター道場

お知らせ

2019/06/13

足跡:「第4次北区地域福祉活動計画の策定に寄せて」

 第4次北区地域福祉活動計画の策定を終え、ここに北区民の皆様に公開される日が来たこと、大変嬉しく思います。これは、北区の福祉活動を日々担われている皆様で構成されるワーキンググループが3グループに別れ、回数にして延べ35回、1年にわたって検討を重ねた成果であり、分かりやすく構成されています。提案されている内容は、日々の福祉活動の中から浮き彫りになってきた問題に端を発しているものばかりです。是非とも、お読みになられた方は、周りの方にこの内容をお話ください。どこのページでも構いません。そして、2度目には、別のページを確認しあってください。こうして、計画に魂が入り、生かし生かされていく地域福祉が実現していくのではないでしょうか。

 さて、この計画を手に取られた方にお伝えしたいことがあります。第4次の計画づくりは、それ以前とは大きく作成理念が異なっているという点です。具体的には、社協事業のための計画ではなく、地域福祉の担い手からのボトムアップによる北区の地域福祉活動計画であるという特長です。北区で発生する地域福祉の「見える問題」を最も把握しており、顕在化していない「探す問題」に光を当てることができ、さらには、現在の延長線上ではなく北区の将来の地域福祉を見据え、「敢えて新たな問題を設定」することのできる方々の経験と知恵の結晶です。他では、まだまだ社協事業のための計画づくりの情報源としてワーキンググループ等を位置づけているところもあると聞きます。私は、結果としての第4次地域福祉活動計画の体裁は同じでも、推進する「当事者意識」に明らかな違いが生じると確信しています。北区は難易度の高い道程を選んだのかもしれません。しかし、5年後にははっきりとした違いとなって、報恩感謝の精神、学びあい、助け合いの地域へと変化していることでしょう。

 しかし、計画に盛り込まれていることが一朝一夕に実現できると考えるのも早計です。ボトムアップ型のアプローチは、計画づくりに留まらず、実行の領域にも及びます。初めての経験が待ち受けているのです。だからこそ、第4次北区地域福祉活動計画期間の5年は、よりよい地域福祉の推進体制を見出す「移行期」であることを皆さんと共有したいと思います。試行錯誤が続くことが予想されます。上手くいかないこともあるでしょう。難しく考えず、「誰に相談しよう?」「初めてだけど、この問題の解決が得意な○○さんに連絡してみよう!」「いや、この問題は、区役所、社会福祉協議会と一緒になって解決策を考えよう!」「できる人、やりたい人、求めている人がつながるには?」と、皆さんも当事者の立場で自問自答してみてください。民と官が同行二人で解決策を模索するなかから本当の絆が誕生することを期待しながら。

 最後に、北区の第5次地域福祉活動計画が、もっと多くの北区民の皆さんの声で立案され、実行に移されることを祈念して、そして、この素晴らしい計画づくりのプロセスに関われたことに感謝して、本編への序文とさせていただきます。

愛知学院大学名城公園キャンパス地域連携センター所長

(現・名古屋市立大学大学院経済学研究科教授)

鵜飼宏成

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