アントレプレナーシップ・エデュケーター道場

お知らせ

2007/08/23

マレーニ 2007/8/23

8月23日(木)依然として、強い雨と風。そして、霧。寒い。
 本日も学生全員(6名)とベロニカ、鵜飼の8名でファームを中心に訪問した。今日は朝8時30分スタート。訪問したのは、次の3件。
1.Eco Farm Lodge
2.Landsborough Museum
3.Worm Farm
1.Eco Farm Lodge
 10時より13時まで、Eco Farm Lodgeを訪問する。オーナーの奥様であるケイトがEco Farmの理念とサービスについて、雨の中、大変丁寧に説明していただいた。
 Eco Farmは5年前に土地を取得し、開拓が始まった。現在は、一部を除きほとんど開墾が進み、ゲストを受け入れることができるまでになっている。(現在は、オーチャードの一部の整備とダムの整備が進行中である)
 さて、ここまでの開墾をどの様に進めてきているか?多くの自己資金を投じ、大型特殊車両(トラクター他)を購入する以外に、WWOOF(Working Willingness of Organic Farm)システムを活用している。このシステムは全世界いたるところであり、オーストラリア独自のものではない。日本でもあるらしい。例えば、Eco Farmには先週まで日本人一人がWWOOFとして働いていた。このシステムを簡単に解説する。WWOOFシステムを動かす組織がある。WWOOFをしたい人はこの組織に登録料を支払いメンバーになる。行きたい国等を登録し、紹介がいるのを待つ。
 他方。WWOOFをお手伝いとして使いたいOrganic Farmは、やはり組織に登録をし、紹介があるのを待つ。さて、両者の希望が合いWWOOFがOrganic Farmにきたら、WWOOFは無報酬で労力を提供する代わりに、Farmは宿と食事を提供する。このEco Farmは、テント作りの本当に感じの良い4人ほどが泊まれるWWOOF専用の宿泊施設があった。テントは、モンゴルのパオみたいで、泊まってみたいと思うね!
 さて、さて。我々は、まずケイトに自己紹介から始めた。といっても、名札に英語で名前を書くだけであるが・・・。その後、ケイトから、何時、どんな目的でこの土地を取得し、今までどの様な過程を経て開墾を進めてきたか。同時に、Land for Wild Lifeの認定を受けることができるほど、自生の動植物に溢れた土地であることが説明された。他方、B&Bを経営しており、現在4名まで宿泊可能であると言う。B&Bの認定を受けるため道路の整備、消火栓等の整備を規定に沿い行っていることも説明があった。
 B&Bの部屋とコモン・ルーム(共用部分)を見学したが、ケイトとご主人のオーナーが日本の文化が本当に好きであることが理解できた。水墨画、仏像、版画等日本に関わる美術作品が多く壁に吊り下げられていたり、家具の上に置かれたりしていた。事前に私は、ベロニカより、ケイトがセカンド・ランゲージとして英語を学習する人々に対する指導資格を持った先生であることを聞いていた。部屋やFarmの解説中にも、いたるところで、クイズ、質問等が行われ、Farmにあるもの全てを使った、地に足の着いた英語学習ができる環境であることが分かってきた。
 約50分にわたりEco Farmを外から解説付きで歩いた。雨が激しく降っていたが、外套を着こんで対応した。でも寒いが、聞くことが全て興味深い。例えば、あの白い箱は何か?答えは、養蜂。この道路の青い反射鏡は?消火栓を示している。この草は何か分かる?カンガルー・グラス。私達は、カンガルー・グラスを残すように、他の草を抜いている。ここの土は、最初、多くの植物を植えたのだが、土地が粘土質で成長できなかった。そこで、3年間かけて、グラスを植えたりして土の質を変化させた。その結果、現在では、良い土になった。さらに、アボリジニが鍬など刃を砥いだというサン・ストーン等の解説を聞き、部屋に戻った。
 部屋に戻ってからは、ケイトが英語の先生に早変わり。ベロニカが来週グラス・ハウス・マウンテンズに行くので、事前に知識を与えたいとの希望を伝えていたからであると聞いた。学生達は、いやな顔をせず自然とケイトの講義に入った。2度ほどアボリジニの伝説を聞き、物語のカードを並べ替えていた。完全一致は3組中一組。他の組も2枚ほどの並び方が違っていただけで、ケイトはOKを出していた。次に、同じカードを使い、オリジナルな物語を作ることになり、3組とも特徴的な物語を作り、片言ながら英語で話し、ケイトもよく理解できたようでOKをだしていた。ケイトは、Eco Farmが本格的に立ち上がったら、日本人や韓国人の学生を受け入れ英語学習をしたいとの希望があり、愛知学院大学の学生がその英語学習の第1号として、写真に収められた。
 その後、Eco Farmで採取されたグラス、きんかん、蜂蜜等をたのしんだ。その後、ベロニカが用意してくれた昼食を食べた。全員満足。有機野菜のサラダ、チキンの丸焼きのスライス、パン、マヨネーズを各自好きな量をとり、サンドウィッチとして食べた。最後は、ケイト手作りのチョコレートケーキ。本当に美味しく楽しめた。
2.Landsborough Museum
 Historic Townとの標識が街中にあることからも分かるように、1800年代から1900年代初頭にかけて徐々に開発が進んだ地域である。マレーニは、このLandsboroughから西の山側へ約15キロ内陸に入ったところにある。1900年代初頭に作られたマレーニの町の写真も飾られていた。現在でも何棟かは当時のものが使用されているそうである。
3.Worm Farm
 ミミズの糞を飼料として加工する農場を訪れた。代表はボブという68歳の元気で、ユーモア溢れるおじいちゃんである。ちなみに背が私より低い。約160センチメートルであろう。突然の訪問にもかかわらず、親切にミミズの効用を教えてくださった。
 約30年前からこの仕事をしている。ミミズ自体を養殖し販売する農場ではない。ミミズが紙、コンポスト、動物や人の糞を食べ、非常に栄養分の多い糞を自然界に返す特徴を生かし、ミミズの糞(キャスト)を効率よく生産し、販売する、時にはその方法を販売したり、大規模な土壌改良などのコンサルティングを生業にしている。
 キャストを得るのに適したミミズがあり、この農場では4種類もちいている。例。赤ミミズ、○、○、○(通訳に主眼を置いていたため、メモを取らず具体的な名前を忘れてしまった)。当初、4000匹のミミズで始め、現在では120万匹ほどになっていると言う。
 さて、ミミズのキャストは、どの様に植物の成長に貢献するのだろうか?ボブは、まず、固形のキャストと液体キャストとの比較から始めた。液体キャストと固形キャストは同じもので作られている。ただし、液体キャストの方が固形キャストよりバクテリアが50倍多い。このバクテリアが植物の成長には欠かせない。バクテリアは、触媒となり、植物が生長するための酵素(Ensyme)をよく生成する。よって、バクテリアが多い液体キャストの方が植物の成長をよりはやく促す。もちろん、目的に応じて液体キャストと固形キャストを使い分けることが大切だ。
 以上のような解説をボブは行った後、黒鞄から写真を取り出した。4枚の写真は、2枚一組のペアになっていて、それぞれのペアをAとBとしておこう。Aは化学肥料を使って育てた植物、Bは液体キャストを使って育てた植物の成長の軌跡である。植物は同じ種類で、成長の違いを測るため同じ人物がそれぞれの写真に写っている。Aは15ヶ月間の成長、Bは12ヶ月間の成長の軌跡である。驚いたことに、圧倒的に液体キャストを使用した12ヶ月の成長のBの方が、化学肥料を使用した15ヶ月のAより豊かに成長している。化学肥料は土中の多様性を失わせてしまう結果、成長が遅くなるらしい。(私達は、大学の講義で民間企業に協力をいただきバーチャル・カンパニーを立ち上げる準備をしている。その一環で、ワーム・ゴールドというミミズからの生成物の存在を知り、その効果を調査した経験がある。今回のWorm Farm訪問は、ミミズの効用を再認識することとなった。)
 さて、どの様にミミズが排出したキャストを集めるのだろうか?これが、この農場の一つの重要なポイントである。底が網目になったトレイをイメージして欲しい。1メートル四方で、深さが大体10から15センチメートルであろう。その半分ほどに、コンポストを入れ、その上にミミズを入れる(ちなみに発泡スチロールにミミズ1000匹はいったものを販売していたので、そのくらいがミミズの量の単位だろう)。ミミズがコンポストを食べ尽くしキャストを出すところで、上に2層目のトレイを置く。このトレイにもコンポストが入れられている。同じように3層目、4層目と重ねていく。その間、定期的に、トレイに散水する。最初は水、次はバクテリアを含んだもの、続いて水をかけるらしい。ちなみに、よいキャストを得るためにバクテリアを含んだ溶液が重要らしい。1リットル3ドルで販売していた。
 話を聞いている間、ボブのお客さんが3人ほど来た。その中の一人が、小型のバスケットを持っている。それをきっかけに、ボブは、家庭用の製品を見たいか?と尋ねてきた。家庭で生産的にできるかどうか難しいと思っていた我々は、今まで大規模に行われてきたものをミニチュア化したトレイを見せられた。液体キャストも取れるようになっている。なるほど・・・。他にバスタブでもできるぞ、なんて冗談かと思ったら、本当にそれをミミズ用に転用していた。何でもできるんだと笑いながら話をしていた。
 最後に、ニュージーランドのある地域でのコンサルティングの話をしてくれた。そこは、元々牛の首を切り離し、他は川に流すという風習があった。汚染が進む。でるものをワームに食べさせ、キャストで800ヘクタールのレモン果樹園をつくった。全量日本に輸出され、産業を生み出し所得向上に貢献したという。三方よし。生態系、経済、行政。こんな素晴らしいことはないな!
 学生の儲かりますか?という質問に対し、私は自然のメカニズムを少し生産的に下に過ぎない。もうけよりも、自然を生かした生活を広めることに意義があり、儲けは二の次。生活できれば良いという考え方でいると、ボブは回答した。
余談・・・・・
雨が依然として降り続くこの日、学生をホストファミリーに送り届けにいった。そこはダグラスお爺さんの家だ。昨年も学生が大変お世話になった。私も夕食をともにし、楽しい一時を過ごさせていただいた。彼の家の庭に車をつけ、学生を降ろし、帰ろうとしたその時。私のフォード・テリトリーの後輪が空回り。バックは可能。向きを変え、前進のためアクセルを踏む。空回り。これを数度繰り返す。まだ、フェンスまでには十分な距離があると判断した時、左後輪が段差に落ちてしまった。前にもいけず、後ろにもいけず。雨の中、何かを噛ませ、このアクシデントを脱出しようとしたが不可。ダグラス爺さんが買い物から帰ってきて、隣の人に紐を借りて、彼の小型4WDで引っ張ってもらったが、私の車が重すぎて全く動かない。何度もトライしたが効果なし。
プロフェッショナルに任せることにした。既に真っ暗で雨風も強く作業は困難と判断し、明日電話することにした。ということで、ダグラス爺さん宅に逗留することになった。美味しい食事、デザート(手作りアプリコットの甘煮)、会話、ゲーム。寝る段になり、風雨がより強くなり、暴風雨状態。水漏れもしている小さな家は、今にも吹き飛ばされそうである。それだけでもあまりの音のすごさに閉口するところに、雷の音も加わり、飛行機に乗ったときに使う耳栓をしても寝付けない夜を過ごした。
翌朝は、トーストを取った後、Thriftyのロードサイドサービスに連絡し、結局、RSAQが来る。日本のJAFみたいなもの。これらも車が動かない状態に苦慮し、結局1時間ぐらい脱出にかかった。料金120ドル。保険でカバーできるはずだが?と問うたが、まずは支払い、後で保険から料金を返還してもらって欲しいということになった。果たして、カバーされるのだろうか?

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